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子育ての日常

男性育休取得率50.9%:2017年に会社初の育休を取り,3回とも1年取った父親が思うこと

男性育休取得率50%越え
JoyNote@1981

私が初めて育児休業を取ったのは2017年でした.勤務先では,男性社員として初めての育休取得者でした.当時,男性の育休取得率はまだ1割にも届いていません.制度としては可能でも,職場では珍しい選択でした.

それから約9年.厚生労働省の「令和7年度雇用均等基本調査」によると,2025年度の男性育休取得率は50.9%となり,はじめて5割を超えました.いまや男性の2人に1人が育休を取る時代です.3回の育休を経験した父親として,隔世の感があります.

ただ,資料を最後まで読んで,ひとつ動けなくなった数字がありました.

1年以上の育休を取った男性は,2.1%.

9年前と,ほとんど変わっていません.今回は,取得率50.9%の中身について書いてみます.

2017年,会社で初めて男性育休を取ったときのこと

最初に伝えたときの反応は,好意的なものばかりではありませんでした.役員からはかなり否定的なことを言われました.同僚からは「そんなに休めてイイな」と言われたこともあります.

一方で,会社の外に出ると反応は真逆でした.「育休が取れるなんて良い会社だね」と言われることが多かったのです.子育てイベントに息子を抱っこして連れて行くと,周りのお母さんたちからはとても歓迎されました.

同じ育休が,社内では「休み」と見られ,社外では「進んだ会社」と見られる. このねじれが,当時の男性育休が置かれていた立場を,そのまま表していたように思います.

男性の育休取得率は50.9%まで上昇した

まず,最新の数字を整理します.

男性女性
2025年度50.9%88.3%
2024年度40.5%86.6%

前年から10.4ポイントの上昇です.

推移を並べると,一時的な跳ね上がりではないことが分かります.

  • 令和3年度:13.97%
  • 令和4年度:17.13%
  • 令和5年度:30.1%
  • 令和6年度:40.5%
  • 令和7年度:50.9%

2022年以降,毎年10ポイント前後のペースで上がり続けています.政府が掲げていた「2025年に50%」という目標は,これで達成されました.次の目標は,2030年に85%です. 50.9%はゴールではなく通過点という位置づけになっています.

なお,この数字の定義には注意が必要です.対象は「2023年10月から2024年9月に本人または配偶者が出産した人のうち,2025年10月までに育休を開始した人」で,取得予定の申出をした人も含まれます.「2025年度に半数がすでに取り終えた」という意味ではありません.

育休を取る男性がいる職場そのものが増えている

取得率と並んで,個人的に注目したのがこの数字です.

男性の育休取得者が1人でもいた事業所の割合:57.1%(前年41.0%,+16.1ポイント)

一部の先進企業で取得者が増えたのではなく,男性育休が発生する職場そのものが1年で16ポイント増えたということです.

事業所規模別に見ると,やはり大きいほど取得率は高くなります.

事業所規模男性の育休取得率
500人以上60.7%
100〜499人54.6%
30〜99人49.9%
5〜29人42.9%

ただ,5〜29人の小規模事業所でも42.9%です.「大企業だけの話」とは言えない水準まで来ています.有期契約労働者(男性)の取得率も40.4%(前年33.2%,+7.2ポイント)と上がっており,正社員以外にも広がりつつあります.

【余談】製造業の取得率は,平均より高かった

ここで,自分の予想が外れた話を書いておきます.

私は製造業で働いています.社内の感覚としては「男性育休はまだ珍しい」だったので,製造業は平均より低いだろうと思っていました.ところが,産業別のデータはこうでした.

製造業の男性育休取得率:55.9%(全体は50.9%)

平均より5ポイント高い.正直,意外でした.

ただ,これは後述する取得期間の話と合わせると納得できます.短期間の育休なら製造業でも珍しくなくなった.でも,長く取るとなると別の話.私の実感と統計は,矛盾しているわけではなかったのだと思います.

なぜ男性育休はここまで増えたのか

厚労省の資料は上昇の原因を直接分析しているわけではありません.ただ,2022年以降の制度改正が影響した可能性は高いと考えられます.

2022年4月,企業に育休を取りやすい雇用環境の整備が義務化されました.あわせて,本人または配偶者の妊娠・出産の申し出があった際に,企業が制度を個別に説明し,取得意向を確認することも義務になりました.

これは大きい変化です.2017年の私は,自分で制度を調べ,自分から言い出す必要がありました.今は会社から聞いてくれる.言い出しにくさを抱えている人にとって,この差は決定的です.実際,個別の周知・意向確認を行っている事業所は76.9%まで来ています.

2022年10月,産後パパ育休(出生時育児休業)が創設されました.出生後8週間以内に最大4週間,2回まで分割して取得でき,通常の育休とは別枠です.通常の育休も2回まで分割できるようになりました.

今回の調査では,育休を取った男性のうち58.3%が産後パパ育休を利用しています.ただしこの割合は前年(60.6%)から2.3ポイント下がっており,取得率上昇のすべてを産後パパ育休で説明することはできません.

2023年4月,従業員1,000人超の企業に,男性育休取得率の公表が義務化されました.企業同士の比較ができるようになり,採用や人材定着の観点から取得率が経営課題になったといえます.2025年4月からは,対象が300人超の企業に拡大されました.

ただし,制度改正だけでは説明できない部分もあります.育休を取りやすい環境整備について,「いずれも行っていない」と答えた事業所は36.9%.義務化されているはずの措置を,3社に1社以上が何もしていないのが実態です.

それでも取得率が上がっているということは,制度以上に職場に前例ができたことが効いているのかもしれません.制度上取れるかどうかより,「うちの部署で誰かが取ったか」のほうが,人の背中を押すからです.

【実用】2025年4月から,育休中の手取りはほぼ変わらなくなった

これから育休を考える方に,一番知っていただきたいのがここです.

2025年4月に,出生後休業支援給付金が新設されました.本人と配偶者がそれぞれ14日以上の育休を取得する場合などが対象で,最大28日間,従来の育児休業給付(賃金の67%相当)に13%相当が上乗せされ,合計80%相当になります.

育休中は社会保険料が免除されるため,これを含めると手取りは休業前とほぼ変わらない水準になるよう設計されています.あわせて育児時短就業給付金も始まり,2歳未満の子を育てるために時短勤務をして賃金が下がった場合,原則として賃金の10%相当が支給されます.

私が2017年に取得したときには,こうした上乗せはありませんでした.3回とも1年取ったので,収入面の不安は正直ありました.もしこの制度が当時あったなら,判断はずっと楽だったはずです.

「育休は取りたいけれど収入が心配」という理由でためらっているなら,一度シミュレーションしてみる価値があります.

本題:取得率は上がった.でも「長さ」は変わっていない

ここからが,この記事で一番書きたかったことです.取得期間を男女で比べると,同じ「育休を取った」でも中身がまったく違います.

男性の取得期間

期間割合
5日未満6.8%
5日〜2週間未満14.1%
2週間〜1カ月未満28.0%
1カ月〜3カ月未満30.3%
3カ月〜6カ月未満10.1%
6カ月以上10.8%

6カ月未満の合計は89.3%.約9割が半年に届いていません.

女性の取得期間

期間割合
6カ月未満6.7%
10カ月〜12カ月未満28.7%
12カ月〜18カ月未満31.4%
18カ月〜24カ月未満12.4%

そして,一番差が出るのがここです.

1年以上の育休を取った割合
男性2.1%
女性49.1%

男性で1年以上取っているのは,50人に1人. 女性はほぼ半数です.

男性育休は「取る人が半数に増えた」のであって,女性と同じように育児を担う期間を確保できているわけではありません

私は,その2.1%を3回やりました

ここで,自分のことを書きます.

私は3回とも,約1年間取得しました. 奥さんの職業の事情もあり,かなり特殊な事例です.ただ,データを見て改めて分かりました.2.1%というのは,そういう数字なのだと.

3回目を取った時点でも,会社の中では依然として異例の存在でした.2回取っていたので「3回目も取るんだろう」という空気にはなっていましたが,あとに続く人は出ていません.

この9年で,取得率は10%未満から50.9%へ,5倍以上になりました.でも私の立ち位置は,2017年から今日まで,ほとんど変わっていません.

若い世代は「もっと長く取りたい」と思っている

では,短いのは本人が望んでいるからなのか.そうではないことを示すデータがあります.

厚生労働省の共育(トモイク)プロジェクトが2025年7月に公表した「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」(15〜30歳,13,709人)です.

男性が希望する育休期間

希望期間割合
1カ月以上70.0%
6カ月以上31.5%
1年以上20.1%

実際の取得と並べると,こうなります.

希望(若年男性)実際
6カ月以上31.5%10.8%
1年以上20.1%2.1%

1年以上の育休を望む若い男性は5人に1人.実際に取れているのは50人に1人. その差,約10倍です.

同じ調査には,こんな数字もあります.72.2%が「仕事と育児の両立に不安がある」と答え,64.8%が「共育てをしたいが,実現には社会や職場の支援が必要」と答えました.

短いのは,望んでいないからではありません.取れないからです.

求められているのは,育休制度ではなかった

この調査でもう一つ印象的だったのが,「理想の働き方を実現するために必要な支援」の順位です.

  1. 残業時間の抑制(22.3%)
  2. 在宅勤務の活用(22.1%)
  3. 有給休暇取得の促進(21.6%)
  4. 男性の育休取得の促進(13.7%)

上位3つは,いずれも育休制度の話ではありません. 求められているのは育休を取れることではなく,日常の働き方そのものです.

そして,企業にとって重い数字がこれです.理想の働き方ができていない若年社会人は,できている人に比べて,子育て期間の離職意向が24.3ポイント高い(38.6%対14.3%).

さらに,就職活動で重視する結婚・出産関連情報の1位は「男性の育休取得率」(23.3%),2位は「育休取得者をカバーする社内のサポート体制」(19.5%)でした.若い世代は,取得率を見ています.そして,その先の働き方も見ています.

私の実感とも一致します.若い男性社員の考え方は明らかに変わってきていると感じます.1年取る人はさすがにいませんが,2025年の法改正で手取りが実質保証されたこともあり,短期でも取る人は確実に増えています

それでも,出生数は増えていない

一方で,気になるデータもあります.

2025年の出生数は67万1,236人(厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」,日本における日本人).前年の68万6,173人から1万4,937人減り,10年連続で過去最少を更新しました.合計特殊出生率は1.14です.

私が最初の育休を取った2017年は94万6,060人でしたから,9年で約28万人減ったことになります.同じ期間に男性育休取得率は10%未満から50.9%へ.この対比だけを見れば,「男性育休は少子化対策として効果がなかったのでは」と言いたくなります.

ただ,そう結論づけるのは早いと思っています.

男性育休は,基本的に子どもが生まれたあとを支える制度です.出生数を左右するのは,それ以前の判断——結婚するか,子どもを持つか,何人持つか——であり,そこには所得の不安,雇用の不安定さ,住宅費,教育費,長時間労働,そして出産年齢人口そのものの減少が絡んでいます.

実際,婚姻数はここ数年下げ止まっているにもかかわらず,出生数の減少に歯止めがかかっていません.背景として,結婚から第1子出産までの期間の長期化などが指摘されています.つまり,育休制度だけで動かせる範囲を超えているというのが実態に近いのだと思います.

男性育休は,意味がなかったのか

そうは思いません.出生数を基準にすれば「効果が見えない」となりますが,男性育休には別の価値があります.

  • 産後の母親の身体回復を支える
  • 産後うつの予防につながる
  • 父親が育児の当事者になる
  • 女性が仕事を続けやすくなる
  • 第2子以降を考えられる環境をつくる

私自身,1回目の育休のときに,授乳以外はすべてできるように練習しました. ミルク,おむつ,寝かしつけ,離乳食,通院.最初は何もできませんでしたが,1年あれば身につきます.

そして,この「できるようになったこと」は,復職後も消えません. 我が家は共働きで奥さんも忙しいため,お互いにできることを分担しています.復職したからといって分担が変わった,ということはありませんでした.

育休の価値は,休んでいる期間そのものより,そこで身につけた能力がその後10年続くことにあるのだと思っています.

3回育休を取った父親として,思うこと

9年を振り返って感じていることを,3つ書きます.

制度が使えることと,実際に使いやすいことは違う.

2017年,制度はすでにありました.でも取れなかった人がたくさんいたはずです.今もそうです.3社に1社以上が環境整備を何もしていない中で,50.9%という数字の裏側には,「制度はあるけど言い出せなかった」人がいます.

「そんなに休めてイイな」という言葉が,問題のすべてを表している.

育休は休みではありません.少なくとも私にとっては,仕事より大変な1年でした.この認識のズレがある限り,取得期間は延びないと思います.1年以上が2.1%という数字は,制度の問題というより,この認識の問題ではないでしょうか.

最初の一人になることには,意味がある.

私が3回取ったことで,会社の中に「男性が長く育休を取る」という前例ができました.同じことをする人はまだ出ていませんが,「そういう選択肢がある」と知っている人は確実に増えました.

「今から思えば,1人目2人目は余裕だったなと思う」

「昔のことは,毎日が大変すぎてあまり記憶にない」

3人育てた今から振り返ると,こんな感想です.当時は必死だったはずなのに,記憶に残っていない.育児とはそういうものなのだと思います.

まとめ——次の課題は「取得率」から「長さ」へ

2017年に会社初の男性育休を取った当時と比べれば,50.9%は大きな進歩です.男性育休は,特別な人の制度から,2人に1人が使う制度になりました.

ただし,取得率が上がったことと,男女が同じように育児を担えるようになったことは,同じではありません.

  • 男性の89.3%は6カ月未満
  • 1年以上取っているのは2.1%
  • 一方で,1年以上を望む若い男性は20.1%

望んでいる人の10分の1しか,実現できていない. そして若い世代が求めているのは,育休制度そのものより「残業を減らしてほしい」「在宅で働きたい」という,日常の働き方の話でした.

2030年の目標は85%です.ただ,その頃に問われているのは,たぶんパーセンテージではないでしょう.必要な期間を取れたか,休業中に本当に育児を担えたか,復職後も夫婦で子育てを続けられているか.問われるのは,そちらだと思います.

最後に,これから育休を考えている方へ.2025年4月から,条件を満たせば手取りはほぼ変わりません.収入を理由にためらっているなら,一度調べてみてください.そして取れるなら,できるだけ長く.

1年あれば,授乳以外は全部できるようになります. そしてそれは,一生使えます.


出典

ABOUT ME
JoyNote@1981
JoyNote@1981
理系夫
奥さんが女医の会社員
理系出身で工場勤務しています
時短勤務と3人の子育てに日々奮闘中
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